JPO 一般社団法人日本 コンテスト協会

日本フォトコンテスト協会(JPO)とは

プロに聞く。フォトコンテストのあんなこと・こんなこと10のルール

その1

なぜ、シャッターを切ったのか

フォトコンテストの入賞のコツ、イ口ハのイを写真家、福永一興さんに聞いた。

 
被写体との対峙

――入賞のコツとは、どういうものでしょうか?

福永 写真は、レンズの向こう側にある被写体との対峠です。撮影者がなぜシャッターを切ったのか、が重要で、何も感じることがなければシャッターを切ることはなかったはずです。 被写体に何を見出しているのか、何をメッセージとしてとらえようとしているのか、それを知らなければいけません。

――他に注意点はありますか?

福永 技術的なものでは感動は伝えられない、ということです。 カメラのメカニズムに振り回されてはいけません。 感動を伝えるのは技術的なものではないのですね。

記録としての写真、創作としての写真

福永 写真は、大きくわけて二つ、記録としての写真と、創作としての写真とに区別されます。
前者の場合は感動や時代観、後者の場合は独創性やカメラワークなどが大切になってきます。
そして、どちらであっても、表現力、構成力、技術力が問われます。以下にそのことをチャー卜図としてまとめて みました。参考にしてください。

その2

はじめての応募、これだけはやってはいけない

はじめてのフォトコンテスト。せめて、絶対にやってはいけないことだけは押さえておきたいもの。よみうり写真大賞事務局の横山聡さんによれば2つある。

 
過剰演出はNG

――入賞のコツとは、どういうものでしょうか?

横山 まずは、過剰な演出ですね。たとえば、冬の日本海海岸で、虚無僧が波打ち際を歩いてゆく作品があります。
いい場所によい被写体。しかしそれが仲間内の演技だったらどうですか?がっかりしますよね。よく見ると着物もきれいです。
「撮影会」として仲間内で演技や演出するのはそれもまた一つの楽しみでしょうが、それは「うその表現」になります。

――他にはどういったものがあるでしょうか。

横山 一度どこか地方の写真コンクールで入賞・入選した作品の再応募です。
撮影者本人は「地方の小さなコンクーだからわからないだろう」と思って応募するのかもしれませんが、紙面に出ると、実に多くの人の眼にさらされます。そんなとき、電話が誰からかかかってきます。
調べてみて事実であれば即失格。撮影者の信用がなくなります。

信用が一番大切

横山 写真は楽しいもので、それは撮る側だけではなく、見る側にしても同じです。
写真で心癒やされたり、笑顔をもらったりすることがたくさんあります。それこそが写真の楽しみです。
それをよく考えて撮影・応募してください。下手でも信用だけは決して無くしてはいけません。

その3

うそを見せてはいけない

技術の発達で、手軽にできる写真の修整。いったいどこまで許されるものだろうか。引き続き、よみうり写真大賞事務局の横山聡さんに聞く。

 
うそはご法度

――近年、撮影した写真に修正や加工を施すケースも増えているようです。

そのような修正や加工は、どの程度まで許されるものでしょうか?
横山 トリミングや明るさ、色の調子を整えるなどの作業は可だと思います。しかし、存在するものを「ない方が良いから」と消したり、逆に、無いにもかかわらず「あればもっと良いから」と貼り付けたりしては決していけません。

――「写真を良くするための加工」がなぜいけないのでしょうか?

横山 それは、うその事実を写真で見せることになるからです。無いものがあったり、あるものが消されていたりしては、 写真への信用は無くなります。撮影者に対する信用も同じなのです。また、昨今では町の写真屋さんで加工を勧められることがあり、それに「作品が良くなるなら」 と応じてしまうケースが散見されます。しかし、どんな理由があっても、自分の作品にメスをいれて、機械的に描き直すことはご法度です。ベテランからの「わかりゃしないよ」を真に受けてはいけません。

その4

どんなフォトコンテストに応募すればいい?

星の数ほどもあるフォトコンテスト。どうやって選べばいいのか。フォトコンテスト専門誌『フォトコンライフ』編集長の高作真紀さんは、初心者むけのコンテストをすすめる。

 
気軽そうなキーワードを探す

――初心者は、どうやって自分に向いたフォトコンテストを探せばいいのでしょうか。

高作 「フォトコンテスト」 と聞くと、なんだか敷居の高さを感じてしまう方も多いかもしれませんが、あまり難しく考える必要はありません。素直に初心者向けのものを探しましょう。そのためには、窓口のランクが分かれていて、初心者向けの部門があるコンテストがいいでしょう。「はじめての方も……」とか、気軽そうなキーワードがあるものです。例えば、カメラのキタムラの「365日フォトコンテスト」ならば、「腕試しコース」 というものがありますよね。そういうものは、

詳細を見れば対象者が書いである場合が多いです。あとは、自分がよく撮っている写真を応募できるフォトコンテストなら、 応募しやすいですよね。祭りの写真をよく撮っている人なら祭り写真のコンテストとか、いつも撮影してる場所でのコンテストですとか。

――ハイアマチュアの場合はいかがですか?

高作 規模の大きいフォトコンテストはメーカーがやっている場合が多いので、そういうのを狙うのがまずひとつ。あと、著名な写真家の名前を冠したコンテストなんかもいいと思います。なお、具体的なフォトコンテストの探し方ですが 、初心者でもハイアマチュアでも、雑誌で探すのがいいですよ。今はネットもありですね。

その5

最後は「紙」だのみ

どんなによい写真でも、プリントが悪ければその魅力は伝わらない。
引き続き、『フォトコンライフ』編集長の高作真紀さんにプリントについて聞いてみた。

 
最高級の「クリスタルプリント」

――まず、プリントにはどのようなものがあるのか、伺えますか?

高作 大きく分けて、家でもプリントできるインクジェツ卜と、店舗でのプリントにわけられます。

――コンテストの入賞者に多いのはどちらですか?

高作 やはり、店舗でのプリントが多いですね。しかし、決してインクジェッ卜プリントがないわけではありません。

――なにかお勧めのプリントはありますか?

高作 一例を挙げると、カメラのキタムラには、クリスタルプリントという、最高級の仕上げ方があります。画像をクリスタルペーパーにプリン卜するもので、光沢感、透明感、立体感が豊かなのが特徴です。原版から注文する方法は、①デジタルカメラのデータからプリント、②ポジから出力するプリント、③ポジをスキャンしてデジタル化、の3つがあります。

――それぞれの特徴を教えてください

高作 データからプリントする「デジタルクリスタルプリント」は、データに忠実な色再現がウリです。いっぽうポジからの出力は、アナログ感のある銀塩使用であるのが特徴です。フィルムに慣れた人にはよいかもしれません。ポジをデジタル化して出力する方法は、鮮やかな表現力が期待できます。ビビッドな風合いが欲しいときには効果的です。

最高級の「クリスタルプリント」

――いろいろあるのですね。

高作 プリントの仕上がりは、審査員への第一印象を変えます。審査の現場で、「いい写真なんだけれど、プリントがなぁ…」という声が聞かれることも結構あります。もったいない話ですよね。多くの場合、審査員を務めるのはプロです。彼らにとって、プリントなどの、仕上がりの細部までこだわるのは当たり前なんです。別の見方をすれば、プリントしだいで写真の印象を一段上げることができる、ということでもあります。プリントへのこだわりは、作品への熱意でもありますから。あと、プリントにこだわるということは、自分の作品を見直すことでもあります。細部までこだわることで、欠点や特徴がはっきりとしてくるので、作品に対して客観的に向き合えるんです。自信作は、最高のプリントで送り出してください。

その6

プリントの大きさで入賞しやすさは変わる?

プリントサイズは審査に影響するのだろうか。
『フォトコンライフ』編集長の高作真紀さんは、一番重要なのはあくまで作品だという。

 
まずは作品

――プリントの大きさは入賞に影響しますか?

高作 審査員が迷ったときなど、写真は大きいほう、プリントの紙質やクオリティが高いほうが有利な場合が多いですが、やはリフォトコンテストは、なんといっても作品重視ですね。

理想のサイズは被写体によってかわる

――そもそも、プリントサイズにはどのようなものがあるのでしょうか。

高作 4切(254mm× 305mm)、 W4切(254mm× 368 mm)、6切(203mm× 254mm)、W6切(203mm× 305 mm)、

L(389mm× 127mm)、2L(127mm× 180mm)などが代表的ですが、ほかにもあります。普通は応募要綱にサイズの指定がありますので、確認してください。指定がない場合は、写真の迫力が増すので、基本的に大きいサイズがいいと思います。雄大な遠景写真なんかは大きく見たいですよね。でも、被写体に寄ったマクロ写真などはその限りではありません。最終的には被写体によります。

その7

応募する写真の選びかたは?

いざ応募。しかし、どの写真を選べばよいのだろう。
日本最大の写真クラブ、NPO法人 フォトカルチャー倶楽部(PCC)のインストラクターの皆さんに聞いた。

 
家族が最初の審査員

――応募のとき、どのような選び方をされますか?

坂井猛 私の場合、まず、好きな写真を10枚並べ、その中からインパクトのある写真を選びます。その後、写真に興味のない妻の意見を聞きつつ半分の5枚に絞り込み、1週間経っても気持ちが変わらなければ応募します。
前日ケイジ 私も応募前に家族の意見を聞きますね。妻や子供が一番厳しい審査員なんです。子供、主婦の感性は侮れません。
岡田安正 私も家族の意見を聞きますね。あと、写真クラブの仲間にも見せます。クラブの仲間の場合、なんというか、「意見」よりも「反応」を見ます。

冷却期間が必要

――家族の意見を聞くという方は多いですね。応募写真を絞り込むまでには、どのくらい時間をかけますか?

斎藤誠 おおざっぱに候補をあげるのは、募集開始の1ヶ月くらい前です。その後、2,3日おきに見直して絞り込みます。 ちなみに、私の場合はひとりで選び、誰かに相談することはありません。
前田 私も期間を空けて、3回以上選考します。苦労して撮った写真ですから、どうしても思いいれが入ってしまうんですね。だから冷却期間をおきます。3回選考すれば、冷静に作品と向かい合えます。
前田 私は、撮った翌日にパソコン上で分別しますが、やはり1週間おいて、改めて選別しなおしますね。撮影直後は客観的な判断が難しいものですから。

その8

タイトルで意図を伝える

意外と悩むのがタイトルのつけかた。
写真家の杉本恭子さんは、写真の「意図」を伝えることの大切さを説く。

 

――そもそも、タイトルの役割とはなんでしょうか。

杉本 写真は真実をそのままとらえる芸術ですが、それだけで第三者に撮影者の気持ちを伝えられるとは限りません。写真は自己表現の芸術でもあるので、撮影者の意図をしっかりと伝えなければなりません。そこで大切になってくるのがタイトルです。

――タイトルづけの工夫にはどういうものありますか?

杉本 たとえば、夏の風景写真に「夏」とタイトルをつけても、それは見ればわかることです。それよりも、第三者が興味を持っているのは、
撮影者がなぜその写真を撮ったのか、です。そこで、「思い出の夏」とすれば、“ああ、ここは撮影者の思い出の風景なんだなあ"と、撮影者の気持ちを伝えることができ、より心を動かすことができるのです。また、右のようにチャートを作って整理するのもよいでしょう。一例ですが、参考になさってください。

その9

肖像権は気にしたほうがいい?

フォトコンテストに応募する上で避けて通れないのが、肖像権などの法的問題だ。法的問題に関するQ&Aを集めた『スナップ写真のルールとマナー』(日本写真家協会編、朝日新書)から肖像権について紹介する。

 
公道において無断で撮ったスナップ写真をフォトこ音テストに投稿したい

Q 早朝からにぎわう輪島の朝市で、露店のおばさんのスナップ写真を撮りました。
朝市では、海産物や野菜、色とりどりの花など、菅笠や頬被りのおばさんたちが通りすがりの人や観光客に元気に声をかけていました。
 ひと際大きな声に振り返ると、絣のモンペに真っ赤なアネさん被りをしたるばさんが、大きな大根を抱えて呼びかけていました。
青々とした葉と真っ白な大根、絣と真っ赤ないでたちのコントラストが美しく、地方色豊かな姿にカメラを向けると「写真はダメ、ダメ」というふうに、そのおばさんが顔の前で手を振りました。
しかし、公道での朝市であり、無視してシヤッターを切りました。
カメラ誌のフォトコンテストに投稿をしたいのですが、問題はありますか。

A この場合は「被撮影者の意思を無視してシャッターを切った」という問題ですね。
 地方都市や農山漁村の朝市を訪ね、新鮮な野菜や魚介類、特産品などを物色しながら、土地の人と会話を交わすことも旅行の大きな楽しみです。また、季節感や、その土地の独特の風俗や雰囲気の朝市風景は、絶好の写真対象でしょう。
こんな場合、いきなリカメラを向けないで、挨拶や土地の話をしたり聞いたりして、その土地の人と親しくなることをお勧めします。
 たとえ公開の広場や道路上であっても、誰だって、いきなリカメラを向けられて無遠慮に写真を撮られれば嫌なものです。
 話しかけ親しくなることによって、表情も豊かになり、心の交流が生まれます。それから「写真を撮らせてほしい」と相手に伝えれば、きっと快諾してくれることでしょう。
自分だけの勝手な欲求だけでなく、相手の心情を理解しなければ、結果的にはよい作品にはなりません。
それでも撮影を拒否されれば、潔く引きさがることです。(山口)
(同書P110‐ 111より)

『スナツプ写真のルールとマナー』
(日本写真家協会編、朝日新書)
< 写真を撮る上で知っておきたい肖像権、著作権のルールとマナーを66のQ&Aで紹介。>

その10

応募要綱の見方は?

いよいよ応募。そのためには応募要綱を読まなければならない。意外と見落としがちな点も多いのが応募要綱。『フォトコンライフ』編集長の高作真紀さんに聞く。

 
審査側に思いをはせる

――応募要綱を見る上で注意すべき点は。

高作 一言で言えば、審査側の事情を考えていただく、ということでしょうか。例えばサイズ。たまに規定から外れたサイズで送ってくる人がいますが、そうすると、保管用の箱に入らないなどの問題が出てきます。サイズが規定から外れていても審査の対象になる場合もあるかもしれませんが、必ず守ってください。応募枚数も同じですね。審査員に、1枚あたりの審査でいくら、という形で謝礼を支払う場合もあります。これも守ってほしいです。あと、写真の天地をはっきりするのも忘れずに。水面への映りこみや、枝のアップなんかだ と、上下左右がわからなかったりします。

意図を伝える

――記入漏れが目立つ場所はありますか?

高作 ○をつけてください、という場所は漏れが多いです。 例えば、コースや部門ですね。でもこれは重要なんです。というのは、同じ写真であっても、応募部門が違ってしまうと、その写真の意図が審査員に正しく伝わらないからです。あと、作品返却希望の有無や、名前も忘れないでください。応募前には一度、見直すことをおすすめします。